『くんちゃんとにじ』

ペンギン社 1984

作:ドロシー・マリノ

訳:間崎ルリ子


くんちゃんとにじ
ドロシー・マリノ
ペンギン社



【パパのお薦め度】 ★★★★★

【なおくんの熱中度】★★★

【なおくんの初めて】4歳

【対象年齢】    4歳~6歳

 

書評で見かけて気になり、パパがチェックしていた一冊。図書館で借りてきました。

 

こぐまの“くんちゃん”が、にじの根元を追いかける、夢いっぱいのお話です。にじを見つけたくんちゃんは、小鳥から、にじの根元には、金の詰まった壺が埋まっているという言い伝えを聞くと、お鍋を持って駆け出します。お母さんやお父さんからも、途中で出会う、りすやうさぎやシマリスからも、「きんのつぼを さがしているんだったら、 あれは ただの おとぎばなしだよ。」と言われますが、くんちゃんは、にじを追いかけて駆け続けます。にじの根元が見えたところに行くたびに、そこににじの根元はなく、別のところに見えています。くんちゃんが大きな木まで来ると、にじは消えてしまいます。でも、くんちゃんが木に登ってみると、大きな穴が開いていてそこには・・・。くんちゃんは、来た道を「ぼく、きんを みつけたよ!」と叫びながら、うちへと駆けて帰ります。シマリスもうさぎもりすも、「まって! ぼくにも みせて!」と後に続きます。うちに着くと、くんちゃんは、お鍋を置いて、「おかあさん、みて! にじのねっこに ほんとうに きんのつぼが あったんだよ。」お鍋の中身は、蜂蜜。シマリスとうさぎとりす、それに小鳥もいっしょに、みんなでお母さんが焼いたホットケーキに蜂蜜をかけて食べました。

 

にじの根元って、ぼやけてしまって、地面には付いていませんよね。パパもこどもの頃、どこから生えているのか疑問に思った記憶があります。きれいな七色に輝く美しさだけでなく、突然現れるし、いつの間にか見えなくなるし、にじって子供にとっては不思議な魅力があると思います。そんなにじの不思議と魅力で、想像の世界が広がるよい絵本です。

 

最後のページの、おかあさんとおとうさんの、


「くんちゃんが きんのつぼを みつけにいってくれて よかっったこと!」


「くんちゃんが みつけた きんは、 ほんとうの きんより ずっと ねうちが あるよ。」



の言葉と、みんなとの食事のシーン。なおくんの価値観を育んでくれたらいいなぁと思い読みました。

 

この絵本、絵は、黄色と黒の二色刷りですが、くんちゃんの夢中な様子を同じ表現で繰り返すことで、七色のにじが見えるかのようなわくわく感が伝わります。想像力を養っていくには、カラフルな絵本ばかりでなく、こうした絵本もいいのかな。とも思いました。

【「くんちゃん」シリーズ】
『くんちゃんのはたけしごと』