なおくんの本棚

毎晩の絵本タイムをこよなく愛するなおくんのパパによる絵本紹介ブログ。

海外

『マッチうりのしょうじょ』

フレーベル館 2018

文:やなぎや・けいこ

絵:町田尚子


マッチうりのしょうじょ (ひきだしのなかの名作)
やなぎや・けいこ
フレーベル館
2018-11-15


 

【パパのお薦め度】 ★★★★

【なおくんの熱中度】★★

【なおくんの初めて】5歳

【対象年齢】    5歳~8歳

 

誰もが知るアンデルセン童話の傑作です。この絵本では、きれいな現代標準語の平易な文章と、絵の具で描かれた、お人形のような少女の絵で表現されています。

少女自身やマッチの明かり、幻想の中の光以外の、町並みなどは、暗めの色調で描かれ、寒さ、つらさがよく伝わります。

 

複数あった「マッチ売りの少女」の絵本の中から、初めに読ませるのに一番いいかなぁと思い選びました。

 

ところが、なおくんに読み聞かせようとすると、かなり、いやがります。明るく楽しい話でないというだけでなく、人の死を扱ったお話が、絵本に限らず、現実でも、テレビでも初めてだったこともあったのでしょうか。怖かったみたい。読み始めはいやがりながら、中盤からは、身動きひとつせず、固まったように聞いていました。結局、2回くらいしか読まなかったように思います。寝る前に読む絵本ではなかったかもしれませんね。

 

みなさん、「マッチ売りの少女」は昼間に読んであげましょう。

『くんちゃんのはたけしごと』

ペンギン社 1983

作:ドロシー・マリノ

訳:間崎ルリ子


くんちゃんのはたけしごと
ドロシー・マリノ
ペンギン社
1983-08-01


 

【パパのお薦め度】 ★★★

【なおくんの熱中度】★★★

【なおくんの初めて】5歳

【対象年齢】    4歳~7歳

 

こぐまのくんちゃんを描いた絵本シリーズの一冊です。

 

何でも自分でやってみたい年頃の子に見立てて描かれたくんちゃん。お母さんの掃除の邪魔になるので、体よくお父さんの畑仕事の手伝いに向かわされます。でも、畑でもお父さんの「だめ、だめ」の連続。せっかく種をまいたところを引っ掻いたり、雑草に水をやったり、お花を抜いてみたり、唐辛子の花を摘んでしまったり・・・。

くんちゃんは、考え、しばらくお父さんのすることを見ていることに。やがて、もう一度種をまいた畑に水をやり、草を抜き、花を摘み、唐辛子に覆いを掛け・・・。お父さんから「なかなか うまいじゃないか。」と褒めてもらいます。

 

失敗を繰り返しながらも、親や先生のすることを観察しながら、やり方を覚えていく様子、うまくできて褒められたときのうれしさ、そんなことを、日常の生活を舞台にで描いた絵本。

 

我が家では、貸し農園の畑を一畝借りて、パパとなおくんで色んな野菜を少しずつ育てています。絵本の読み初めはあまり興味を示さず、おもちゃで遊んでいたなおくんも、お父さんの畑を手伝うというお話に、近くに寄ってきて絵をのぞき込みながら聞いておりました。

 

【「くんちゃん」シリーズ】

『くんちゃんとにじ』

『おおかみと七ひきのこやぎ』

福音館書店 1967

絵:フェリクス・ホフマン

訳:せたていじ

 

【パパのお薦め度】 ★★★

【なおくんの熱中度】★★★★

【なおくんの初めて】5歳

【対象年齢】    4歳~7歳


おおかみと七ひきのこやぎ (世界傑作絵本シリーズ)

福音館書店
1967-04-01


 

グリム童話を元にした絵本です。以前、別の作家のものを紹介したところでも書いたように、なおくんの通う園で、年間テーマに取り上げているお話です。

 

昔話や、グリム・アンデルセンなどの古典童話には、いろいろなバージョンがあることを知ってもらいたくて、パパがあえて選んで借りてきました。

 

この絵本は、おそらく、「おおかみと七ひきのこやぎ」の話では、一番有名で普及している絵本と思われます。前回紹介したものより、お話部分の文字数が少し多めで表現も高度な言葉使いなので、対象年齢は1歳上げてみました。絵は、おおかみや子やぎが四足歩行であるなど、比較的動物感が残った、リアルに近い絵ですが、お母さんやぎは二足歩行でエプロン姿に擬人化されていたり、後半では子ヤギも前足で石を持ったり、折衷的な部分もあります。

 

夏休みが開けて、園に行くようになったタイミングで読んだので、園での生活とあいまって、再び家でもおおかみごっこをしたり、園で教わってきた「おおかみと七ひきのこやぎ」の歌なるものを口ずさんだり、このお話の世界にどっぷりと浸かっているなおくんでした。

『ちいさいおうち』

岩波書店 1965

作・絵:バージニア・リー・バートン
訳:石井桃子


ちいさいおうち
ばーじにあ・りー・ばーとん
岩波書店
1965-12-16


 

【パパのお薦め度】 ★★★★

【なおくんの熱中度】★★

【なおくんの初めて】5歳

【対象年齢】    5歳~10歳

 

田舎に立てられた小さいおうちのお話。建てた人は、「まごの まごの そのまた まごのときまで」立派にたっていると信じます。小さいおうちは、丘の上から、景色を眺めて過ごします。夜になると、遠くに見える街の明かりを見て、街への憧れを抱きます。時はどんどん経って、景色も変わります。小さいおうちは、春も、夏も、秋も、冬も、豊かな自然と子供たちをじっと見ていました。ところがある日、自動車が走ってくるのを見たときから、どんどん都会化していく小さいおうちのまわり。遂には、ビルに囲まれてお月様も見えなくなってしまい、小さいおうちはすっかりしょんぼりしてしまいます。そこに通りかかった女の人は・・・。

 

多くの大人には、生まれ育った家や、祖父母の家など、思い出の詰まった家の記憶があると思います。そんな家や、親や先祖への思いだったり、自然豊かだった思いでの地が開発されていく、何とも言えない寂しさだったり。そんな気持ちをくすぐられる絵本です。そして、最後には、心温まる結末が。

 

長い間読み継がれる傑作絵本。パパも初めてのはずなのに、読み聞かせながら何故か先のストーリーがわかっていました。たぶん、はっきりっと記憶にはなくても、小さい時に読んでいたのでしょう。

 

なおくんは、「ふーん」という感じで神妙に聞いていましたが、最初の一度きりでリピートはなし。よく練られたストーリーといい、美しい日本語の訳といい、色彩豊かな絵といい、確かに名作なのですが、田舎が都会化していく、ちょっとさみしい感じや、都会や街の負の部分なんていうのは、子供にはなかなか響かないようです。「まごの まごの そのまた まご」といった、先祖や子孫への気持ちなんていうのも、幼児にはわからないんでしょうね。

 

もっと大きくなって、小学生の中学年くらいかな、昔のことや自分のルーツに興味を持つようになった頃に、もう一度読んであげたい絵本です。はたしてなおくん、その頃までパパやママと一緒に本を読んでくれるかな?

 

『ぼく、ひとりでいけるよ』

偕成社 1976

作:リリアン・ムーア

絵:ジョーヤ・フィアメンギ

訳:神宮輝夫


ぼく、ひとりでいけるよ (創作こども文庫( 9))
リリアン・ムーア
偕成社
1976-06-01


【パパのお薦め度】 ★★★★★

【なおくんの熱中度】★★★

【なおくんの初めて】4歳

【対象年齢】    4歳~6歳

 

小さいけれど勇敢なあらいぐまの子、リトル・ラクーンが夕ご飯のざりがにを取りにいくお使いに出るお話です。お母さんが教えてくれた場所は、小川にかかった丸木橋を渡った先にある淵。リトル・ラクーンは、初めてのお使いで、いい気分。途中の森で出会ったヤマアラシおじさんや、大スカンクや、でぶちんウサギから「たったひとりでどこへいくんだい?」と聞かれても、得意になってざりがに取りに行くと答えます。気をつけるように言われても、“水の中のあいつ”のことを言われても、リトル・ラクーンは、「ぼく、こわくなんかないや。」と。丸木橋を渡り始めるころから、リトル・ラクーンの気持ちに変化が。そして、水の中をのぞくと、そこには・・・。

 

小さな子供が、ひとりでお使いに出るときの気持ち、得意になって皆に言いたくなったり、不安で怖くなったり、それでもお母さんに「できたよ」って言いたくて頑張ったり。そんな気持ちがよく描写された名作です。

 

一度は逃げ帰ったリトル・ラクーンに掛けるお母さんのアドバイスや、もう一度送り出すところも素敵です。いつかはくるであろう、なおくんが泣いて家に帰ってくる時に、こんな素敵な親でいられるかなぁと感じられる、パパ目線でも心に響くお話でした。

 

最後に、お母さんが“水の中のあいつ”の正体をリトル・ラクーンに教えてくれますが、絵本にはハッキリとは書かれません。読み終わった後、なおくんに、「正体わかった?」とたずねても、「え~」ともじもじ。この辺の推察力というか、読解力というか、何歳くらいから付いてくるんでしょうね?

パパから正体を教えてあげた後、一人でページを戻って読み返していたなおくん。にやにやしながら読んでいたところを見ると、オチを理解して読むと、また違った話に見えているんでしょうね。

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